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2026/10/16 10:45

エイサップ・ロッキー、音楽におけるAIに対して極めて穏当なスタンス「何が標準で何がそうじゃないかなんて、俺が決めることじゃない」

 エイサップ・ロッキーが近いうちに自身の音楽でAIを使うことはなさそうだ。このラッパーは現地時間2026年10月14日、コンプレックスの取材に応じてヒップホップにおけるAIについて語り、自身は“実践的に”制作するほうを好むとしながらも、レコーディングにおいては便利なツールになり得るとの見方を示した。

 「俺は自分の手で、実践的にやりたいタイプなんだ。例を挙げるなら、すでに出てる曲、カニエの“グラデュエーション”に入ってる“Good Morning”があるとする。カニエのボーカルは取っ払いたい、でもインストは使いたい。インストをネットで探すことだってできるけど、もし見つけにくかったら、AIを使ってステムを分離してボーカルを消せばいい。そうすれば実際にその上でラップできる」と彼は語った。

 ロッキーはさらに、「AIには悪いイメージがつきまとってる。ある使い方をする分には、必ずしも正解とか不正解とかいうものじゃないと思ってる。その意味で、AIはツールであるべきなんだ。プロンプトを入れただけの完全AI生成の曲を誰かが作ったとしても、それはそいつの勝手さ。何が標準で何が標準じゃないかなんて、俺が決めることじゃないしな。俺はただ自分の道を行ってるだけで、自分の音楽を実践的に、ちゃんとしたやり方で作ってる。ミュージシャンやプロデューサー、ビートメイカーと本気で向き合って、自分のサウンドを伝えて、進化させてるんだ」と続けた。

 このハーレム出身のラッパーは、自身の音楽でAIを使用していたことを認めて激しい反発を招いたフェニックス・フレクシンやタイガといったヒップホップ界の同業者にも言及した。「(フェニックス・フレクシン)だか何だか、そういう名前のやつとか、タイガとか、彼らがどういうプロセスで作っているのかは知らないけど、作ったときにかなり反発を受けたりしたのは知っている」と、38歳の彼は付け加えた。

 フェニックス・フレクシンは当初AIの使用を否定していたが、その後一転してヒット曲「Rubberz」でこのテクノロジーを積極的に受け入れた。同曲は2026年の初めに、完全にAIでプロデュースされた楽曲として初めて米ビルボード・ソング・チャート“Hot 100”入りを果たし、最高58位を記録した。

 タイガもまた、アルバム『$tarface』でAIツールを活用したことで数多くの批判にさらされたが、80年代にインスパイアされたこの作品のボーカルはすべて自身によるものだと明言していた。彼はは8月にヴァイブに対し、「こんなことを言ったらみんな怒るのはわかってるけど、テクノロジーはそういう方向に進んでいるんだ。オートチューンが登場したときと何も変わらない。反対する人もいたけど、本物のアーティストはそれを取り入れて使いこなした。でも(ソング)ライティングに関して言えば、ボーカルは全部俺。テクノロジーをツールとして使うことに何の問題もない」と語っていた。

 エイサップ・ロッキーは今年1月、アルバム『DON’T BE DUMB』で8年ぶりの復帰を果たし、同作は米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で首位を獲得した。その後【DON’T BE DUMBワールド・ツアー】の北米公演と欧州公演を終え、12月にはオーストラリアとニュージーランドで公演を行う予定だ。